ブラジル天使が舞い降りる村のカノア保育園

 鈴木真由美さん著『ブラジル天使が舞い降りる村のカノア保育園』を読了!

 いや~とても面白かったです。読み物としても幼児教育書としても面白かったです。

 まず、著者の鈴木さんの行動力に驚嘆。縁があり若さがあったとはいえ、単身ブラジルに飛び込んで現地の保育園で働き始めるという語り出しは、冒険物語そのものです。

 そして、辿り着いた海岸沿いの村、エステーヴァン村で、まさに0から保育園を立ち上げ、受け入れた子どもたちの成長と共に、やがて就学前教室や学童教室も開いていくという、なんともバイタリティーに溢れる生き方に、世の中にはこんな人もいるんだなぁと、ただただ驚かされます。

 また、保育園を立ち上げるまでのエピソードもとても興味深いものでした。開発が進み、貨幣経済に巻き込まれていく中で、母親も仕事に就かざるを得ない状況の中、子どもを預かってほしいというニーズが生まれてきたこと。そして、価値観が目まぐるしく変化するこの地域で、子どもたちが強く幸せに生きていけるようになってほしいという願いがあること。そうした想いが重なり合って、母親同士で集っていたサロンを母体に、保育園ができあがっていったそうです。まさに、世の中が近代化していく中で保育園が設置され発展してきたその流れが、ブラジルのこの田舎の村に、ぎゅっと凝縮されているような気がしました。

 そして、幼児期に得られた社会生活経験が、その後の小学校教育につながり、中には大学まで卒業し、国家資格を取得できた子も出てきたそうです。反面、保育園から学童を卒業するまで見ていた子が、やがて麻薬組織に入り、売人になったというエピソードも、鈴木さんの悲痛な思いと共に記されていました。

 何よりこの本で感じたのは、子どもたちが、生き生きと、伸び伸びとしていること。

 日本のように、たくさんの教材や行事、遊具や玩具がそろっているとは決して言えない環境なのに、皆、生き生きと生命力にあふれ、豊かに喜怒哀楽を表現して暮らしている様子は、子どもたちがどういった体験や経験を求めているのか、というのを示唆しているように感じました。

 もちろん、社会背景や文化がまるで違うこの保育を、形だけ見た目だけ自分のクラスに取り入れても、きっとうまくいかないと思います。でも、その要素というかエッセンスの部分を、日本の価値観の中で置き換えようとすることは出来ると思います。

 この本を読んだ上で、改めて、エデュカーレ読者交流会での鈴木真由美さんの講演会のメモを見直してみようと思います!

 いや~、でも、ほんっと、すごい人がいるもんだなぁと、しみじみ思いました(笑)

 

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以下、リンク集です!

光の子どもたちの会HP(※カノア保育園を運営するNPO法人)  

criancasdeluz.org

※本サイト内のリンクから、カノア保育園の先生方が作られた様々な動画や関連動画が視聴できます♪

 

「ホシツムグBookStore」より 本書取り扱いページ

hoshitsumugu-shop.stores.jp

 

「エデュカーレ」HP

ikuji-hoiku.net